虚シコウ

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若者の抱える空虚感について / A以上の成績がつくレポートとは

筑波大学の授業「こころの構造と病理」のまとめ課題(これ1つのみで単位の成績がつく)として提出してA+をいただいたレポートを載せる。

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若者の抱える空虚感について

1. はじめに
「思春期・青年期のメンタルヘルス」というテーマの講義で、未成熟な自我・自意識と成長していく身体のギャップに基づいて様々な心理的傾向や問題が生じる過程の説明を聴いた。その説明と筆者自身の経験を重ねつつ青年期心性について考えてみたところ、「若者は子供と大人の中間という不安定な存在故に空虚感を感じやすいのではないか」という仮説や、「そもそも空虚感とは何か」という疑問を得たので、今回はこれらを様々な文献を参照しながら検証する。


2. 実存的空虚感とは
精神医学・心理療法の世界における空虚感は特に「実存的空虚感」と呼ばれている。提唱者であるフランクル(2015)によれば、「実存的空虚は、現代において広範囲に及んだ現象」で、「自分の人生が全体的にまた究極的に無意味であるという感情の有害な影響」だという。

また、佐藤(1975)によると、実存的空虚感とは生活が機械化することで自己の主導権が失われた状態による心性だと言及され、むなしさに関する様々な研究をまとめた大上(2013)は、空虚感は自尊感情の低さ、疎外感や孤独感との関連が強い事を示唆している。

つまり、実存的空虚感を簡潔に定義すると、自己の人生の中に生きる意味や価値を見出せないという漠然とした喪失心理のことである。感覚的な表現をすれば「心にぽっかりと穴が空いたような状態」ともいえる。


3. 若者と空虚感の関係
堤(1994)は、空虚感の中核に「無目的感(無気力感)、孤独感、及び否定的自己観の3因子」を見出し、かつ無目的感と否定的自己観の項目群の平均評定値が中学生で高く、以後年齢が上がるにつれ低下していく傾向を発見した。この結果を、中学生の時期に「急激な自意識の覚醒と、それに伴う自己不安や自尊心の低下」という内からの変化と「学力重視の教育体制」という外からの変化が起こり、高校生以降は「次第に価値観が確立され、自我が統合され安定化していくことの現れとしてか、 あるいは外在的価値観の受容ないしは彼らなりの諦観の帰結」によるものだとも堤(1994)は考察している。


4. おわりに
文献調査の結果、最初の仮説通り、若者(青年)は不安定な状態に置かれる存在故に空虚感に囚われやすいことが窺えた。空虚感は人間の精神面での成長の過程の一要素として自然に喚起されるものである事を、特に若者は意識すべきだと筆者は考える。 (以上、全体980字)


引用文献  *本文での引用順に掲載。なお、本レポートの引用は基本的に間接引用の形をとっているが、内容を要約する過程で原文の表現・文言をそのまま使用している箇所は「」で括り区別している。

V・E・フランクル(2015)『虚無感について: 心理学と哲学への挑戦』, 広岡義之訳, 青土社, pp.83-85.

佐藤文子(1975) 「実存心理検査」,岡堂哲雄編『心理検査学』, 垣内出版, pp.323-343.

大上真礼(2013) 「『むなしさ』に関する研究の概観と展望」,『東京大学大学院教育学研究科紀要』,第53巻, pp.151-156. [online]https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=31056&file_id=19&file_no=1(参照2019-07-04)

堤雅雄(1994)「むなしさ: 青年期の実存的空虚感に関する発達的一研究」,『社会心理学研究』, 第10巻, 第2号, pp.95-103. [online] https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/10/2/10_KJ00003724633/_pdf/-char/ja(参照2019-07-04)

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さて、教育現場において高評価がつきやすいレポートを書くためには何が大事か? という類の論説ではしばしば

"洗練された内容"  とか  "論理的記述" とか、「そりゃそうだろう」という感じの尤もらしいポイントが挙げられているが、

個人的には

  • 文献(データ)を多く援用してますアピールをする
  • 採点者は教員かTAかを確認する(教員なら内容重視、TAなら文字数盛盛・ルール100%遵守の体裁重視でいく)

そして何より、

  • "自分の土俵"で展開する

事が大事だと思う。教員の専門領域ど真ん中のテーマだけで書いてしまうと、相手からすれば目新しさがなくて粗も目立つし。

実際、上のレポートでテーマとした「空虚感」というワードは、"自分の土俵"だし、たしか講義内では1度も出てきてないから都合が良かった。

 

これらの点を意識したところ、文章力がない僕でもレポート課題でAより下の成績がついたことはない(ハズ)。まぁ数学系の課題はちゃんと問題を解く事が必須だけど。あと、これはあくまで学校内での話であって、一般的な"良い"文章を書くにはもっと別の事を考えなきゃいけない。僕はそのアプローチを知らないので、今こうしてダラダラとした記事を書いている。