11がつ7にち
気がついたら僕は小学6年生になっていた。
いや…身体も精神も21歳現在のまま、小学6年生の教室にいるのか。
誰から説明を受けたわけでもないし、あの廊下にビロっと「6年3組」とか突き出ているタイプの謎の板も確認していないけど、ああここは小6の教室なんだとすぐに把握した。
目の前には見知らぬ数人の子供達、それとバイきんぐの西村がいた。
もちろん、西村瑞樹(12)ではなく西村瑞樹(多分45くらい)である。周りの子供達はいかにも小6サイズなのに。
「おいおい、どうなんだよお前は?」「お前はどうなんだ!?」とひっきりなしに周囲に問いかけていた。
そう、西村が軽快にクラスを回していた。
ずっと「どうなんだよ、お前は? そこのお前は? その横のお前は?」と言っているだけなのに、クラスは異様な盛り上がりようだ。
なるほど、一流のコント師はやっぱり一味違うんだなあと思った。
そういや僕の横にはバイきんぐ小峠(多分45くらい)もいたけど、どうやら小峠は僕にしか見えていないようだった。
西村の一言一言に対して小峠が全力で切れ味鋭くつっこんでいるのに、一切反応が帰ってこないのが可哀想だった。
いつの間にか西村は給食を食べていた。
教卓で給食を食べる西村をクラス全員が見つめていた。
西村「給食って美味しいな~」
西村「食レポ上手いな!」
西村「ツッコミ上手いな!」
と、唐突に西村の一人コントが始まった。
なんかよくわからないけど、爆笑してしまった。小峠は教室の端で布団を敷いて寝ていた。
…というところまでが、覚えている昨晩の夢の内容である。
夢って本当に何なんですかね。夢は自分の記憶が整理されるプロセスで生成されるものだとは聞くけど、芸人のバイきんぐと何者でもない僕の間に何の関係があって、何で小6のクラスで結びついたのだろう。
虚しい夢が虚しい日常を侵食します。