虚シコウ

粗い構成!薄い内容!ほとばしる素人意識!AI社会で虚快に暮らすヒント!

「空虚」の対義語は「トンカツ」

長期入院によって人の価値観はどう変わっていくのだろうか?

僕の場合は意外や意外、「食」の価値観に圧倒的な変化があった。

 

これまで、食への関心は人よりかなり薄い方だったかと思う。

朝食はフルグラやクリーム玄米ブランで済ますか、何も食べない、または寝てるか。朝食の為に起きようなんて気は微塵もない。
昼食も夕食も特に何も考えていない。そもそも昼と夜の区別をしてない。適当に空いてる時間に、そこら辺にある物で胃の中を「埋め」て、サプリメントで栄養を補う感じ。
認知症チェックでよく使われる質問の「昨日何食べましたか?」、答えられません。食についてはボケボケでピントを合わせてこなかった。

 

なので入院初期は、朝昼晩決まった時間に決まった量の食事を取るというミッションを遂行せねば!という意識だった

…のだが、
薬の副作用による倦怠感が消えてくると、徐々に「食」への欲望が溢れだしてきた。

 

朝食にソーセージが2本ついてきた時は無意識にガッツポーズをしてしまった。

空に伸びている自分の腕の存在に気づいた後も暫くその腕を降ろさなかった。これは全く過剰なリアクションではなく、ソーセージへの崇拝心を示すための理に適った行為であるからだ。

 

毎日グルメ動画を垂れ流していた。無意識にYouTubeの検索ボックスに入力している、

焼肉、寿司、ラーメン、
マック、ケンタッキー、
屋台飯、普通の家庭料理、
Japanese food、delicious food、cuisine、
中国韓国American もうなんでも国名入れ替え取っかえで食の世界に国境はなし、
何故か幾度となく調べてしまう「セブンの金のボロネーゼ」は純金を凌ぐ輝きを放つし、

「MAX鈴木」「ラスカル新井」「松重豊」の日本三大大食いファイターには惚れ惚れする。オレ様の人選に異論は認めない。なに、「MaxSuzuki TVチャンネル」、「大食いらすかるチャンネル」、そして「孤独のグルメ」を一通り観てもらえれば文句の浮かびようがあるまい。

ニコニコ動画も勿論チェックする。大体、パンツマンの食事風景と日雇礼子のドヤ飯探訪のいずれかに辿り着いてしまうけど。

 

食がもう、ヤバいです。

なにがヤバいって、もうね、ヤバい

 

記事冒頭で「人生の意味に対する考えやらは特に変わってない」とかフいてたけど、やっぱり本当は変わってますね。

美味いものを食べる為に人生はある、と。

 

「いいかい学生さん、
トンカツをな、
トンカツをいつでも
食えるくらいになりなよ。」
(出典:『美味しんぼ』11巻)


人生を取り巻く虚しさはトンカツが埋めてくれます。

トンカツが食べられる日を夢見てもうしばらく生きぬきます。

 

……と、ここまでの文章が一時退院前に書き残したメモであったが、あれからもうトンカツにはありついたんですね。

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うん、なるほど、これが「僥倖」の正体か。

この僥倖を『いつでも食える』ようになる事を今後の目標に定めときます。

それから、フランクルが提唱した「実存的空虚」の対義語は「トンカツ」、異論は認めない。…ただしどうしてもと言うのなら、焼肉寿司ラーメン、あと他に美味そうなものなら何でも認めよう。