虚シコウ

粗い構成!薄い内容!ほとばしる素人意識!AI社会で虚快に暮らすヒント!

タイパ厨のサトシは「ポケモン、ゲットだぜ!」ではなく「ポケモンだぜ!」と叫ぶ

最近ヒマなので、YouTubeTVer等に転がっている動画を浴びるように流し見しています。本当はヒマなはずがないので、動画にヒマだと錯覚させられているわけですが。まったく動画コンテンツの沼は深く恐ろしいものだな、などと思う矢先、ややっ! もっと底深い沼に足を踏み入れてしまいました。「動画編集の世界」です。

ひとたび編集の要素を気にして動画を観てしまうと、もうそれは先程観た画とは別の作品に姿かたちを変えています。真っ当で鋭い発言にもPOPなフォントで覆ってしまえばバカ一直線。ありとあらゆる不要なシーンも全カット。まあ「不要」と言っても本当に不要だったかどうかは分かりません、なぜならカットされてもう見れないから。どうしましょう、この世の編集が全て悪意の塊だとしたら。

悪意ある編集に我々は為す術もありませんね。
あらゆる真実を虚構に変え、虚構を別の真実に変えてしまうのが編集の力で、この大きな敵にどう立ち向かっていけばいいのか、いくら考えど解決策が見つかりません。

 

今、僕は誠心誠意を込めて「ポケモン、ゲットだぜ!」と叫びます。真っ直ぐ指した指先のカメラを通して、世界中の子供達と大きいお友達に声を届けたい。僕の魂の叫び、心の奥底から出る声を1つも漏らさず聞いてほしい!編集さん、頼む!!

ポケモン/ゲット/だぜ!」→「ポケモン/ /だぜ!」→「ポケモンだぜ!」

…ほら。またこれだ。ポケモンにされちゃった。いやおかしいじゃないですか!僕はポケモンじゃないですよぅ!嘘は嫌だ!僕は嘘を言ってないのに!ちょっと!編集さん、聞いてますか!?…編集さん??

少し平静を取り戻し、辺りを見渡すと、何もない。カメラもないし、編集さんもいない。そうか、やはり嘘か。虚構だと正体を暴かれた虚構は跡形もなく消え去る。これにて解決、一件落着。真実はいつも勝つ。フハハ、轟け、真実の言葉よ、ポケモン、ゲットだぜ!!

……あれ。
ポケモン、ゲットだぜ!」果たしてこれは真実なのでしょうか。振り返ってみると、残念僕はポケモンをゲットしておりません。哀しいかな私は根っからの嘘つき野郎です。
それなのに、編集でその嘘にまみれた発言の一部を切り取られると、猛火のごとく怒り狂う。ふざけるな、フェイクニュースだ、俺は正しいのにと、編集側に嘘の所在の100%を押し付けてしまう。そして実際には、編集されていないどころか、ハナっからカメラ1台すら向いていなかったとすれば……

 

なんて事を、YouTubeTVerをダラダラ観てる時にふと思う。入口は映像コンテンツの世界なのに、出口は映像コンテンツ化されもしない世界へとたどり着く話で、あらどちらが虚世界だ?という疑問は拭えない。

ただひとつ言える事は、令和を生き急ぐタイパ厨(タイムパフォーマンス厨房) のサトシは「ポケモン、ゲットだぜ!」ではなく「ポケモンだぜ!」と叫ぶ、これ如何ほどに虚しい事か。