わらしべ長者とは、ある一人の貧乏人が最初に持っていたワラを物々交換を経ていくにつれて、最後には大金持ちになる話である。
「アブが結び付けられた藁しべ」が「蜜柑」にかわり、その蜜柑でのどを潤したい人に「反物」と取り換えてもらい、今度は「馬」との交換に持ちつけ、その馬に乗って辿りついた「屋敷」になんやかんやあって定住する...という、なんとも現実離れした調子のよすぎる話だ。
現実はそんな夢ばかり見ていられるものでもないだろう。実際には、こんな感じの物々交換の展開になるのではないでしょうか? タイトルは『わらしべ虚者』。
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ある男が、「藁しべ」を持ってあてもなく道を歩いていた。
藁しべををぶんぶんと振り回していると、いつの間にか先に「ガム」がひっついていた。
その様子をみた路上の芸術家が、紙を貼るちょうどいい糊の代わりになるからと言ってきたので、「チラシの切れ端」と交換することになった。
チラシは近所のスーパーのもので、「福引の抽選券」がついていたので、さっそく店を訪れた。
ガラガラっと回してみると4等。「藁納豆」を手に入れることができた。
男は納豆をおいしく食べ、手元に「藁しべ」を携えてまたあてもなく道を歩いたとさ...
おしまい
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※【虚談】とは、本来記録したりほかの人に話すには到底価値の足らないようなどうでもいい話を、さも「怪談」あたりに匹敵する一ジャンルとして確立させて垂れ流す試みです。