Hello キッズ！キミはもうたっぷりポケモン捕まえたかい？おじさんはミュウツー持ってるんだ！ほら！
図鑑と照らし合わせて…
ね？ミュウツーだね、おじさんのポケモンね うらやましいよねガキんちょ達、おじさんミュウツー持ってるんだねぇ 力の差に泣けるね でも弱ってきたから皮剥いで体温計ケースにしたのさ 2度泣けるね
…少し怖いのは、自分にとってのミュウツーが他の人にとってはミュウツーではないかもしれないことだ。この体温計ケースをミュウツーに見立てているのは自分だけかもしれないという、世俗との感性のズレへの恐怖。その恐怖を払拭しようと「体温計 ミュウツー」とググッても、「似すぎて草」のような頼もしいコメントは一切ヒットしない。
そしてそんな事ないよな、お前はたしかにミュウツーだよな、と問いかけるようにじっとケースを見つめてみると、あら不思議あっという間に、ミュウツーでもなんでもないただのケースに様変わりしてしまう。
よく見たら全然似てない。
「白い」という共通点はあるけど、それだけで同類判定が叶うならば、お前は豆腐もティッシュペーパーもミュウツーにみえるのか、お前の見ている世界は毎日周りにミュウツーが大量発生するポケモンGOユーザー達の桃源郷なのか、という話になってしまうだろう。…なってしまう訳がありませんね。私は車の免許を持っている。日常の視界がミュウツーに覆われていないからこそ免許をゲットできた。しかし、車のフロントガラスに体温計ケースが1000個貼り付けられてしまった日には、きっと事故を起こしてしまう。なぜか。やっぱり、ケースがミュウツーに似ているせいに決まっている。困ったものだ。
確証こそ持てないが、体温計のケースがミュウツー然としていられる秘訣は、「白色の明度」と「蓋と筒の接合部」の2点にあるのではないかと考えている。
ミュウツーのボディの色からはどことなく「医療」が感じられる。歯磨き粉って感じ。それも、市販のスースーするタイプじゃなくて、歯医者が使うガチのヤツ。だから体温計のケースとも親和性が高い。
あと、蓋と筒の接合部、ここがミュウツーへの入り口でありかつ中核だと思う。ここ1つで「ミュウツーの首の後ろの管」と「ミュウツーの尻尾」の2つが表現されている。と思う。多分。
体温計ケースについて長々と綴ってきたが、ここで衝撃のニュース：最近は消毒しやすい「ふきとるんケース」なるものに刷新されたようだ。ふきとるんケースには蓋がなく、という事はミュウツーのパーツも当然ない。これからはスタイリッシュなふきとるんケースの時代だろう。時の流れとは虚しいもので、ミュウツーケースは対照的に過去のものへとなりゆく。廃れゆく彼を、大丈夫だお前はミュウツーなのだから簡単に逃がさないぞと、大切に保管しておきたい。
