虚博物館 展示(文学)
「作者不詳の短文日記」
2020年頃? 日本
実はただの数年前の自分の日記なんですが、これを少し古びた紙に書き写して「作者不詳の日記」と記したパネルを横に添えるだけでも途端に遺物感があらわれて、虚博物館に展示しても案外違和感ないんじゃいかと思えます。
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(8/31)
布団を洗濯して外に干した。物干し竿が汚れていたせいで布団も汚れた。洗濯する前より汚れた。
(9/1)
PCがネットに全然繋がらないので、Fast.comで回線速度の測定を試みるも、当然これにも繋がらない。これでは自分の間抜け度を測ったようなものだ。
(9/2)
ラーメン博物館のスタンプラリー、景品が焼肉カルビ太郎だった。ラーメン関係なかったなーって2年前の出来事、何故か今思い出す。
(9/3)
いいとものあの曲も、ヒルナンデスのあの曲ももう流れることはない現代社会の昼を憂う。
(9/4)
サイゼリヤのキッズメニューの間違い探しを爆速で解きあげる。褒めてくれる人もいないのに。
(9/5)
駅のホームで「黄色い線の内側でお待ちください」とのアナウンスに対して「うるせえ、何が内側だ」と呟く男は、黄色い線の内側に立っていた。
(9/6)
「バナナがおやつに入ろうが、じゃんけんはゲームに入りません。ここが僕の許容範囲の境界線です。」と渾身のセリフをキめるもスルーされた。
(9/7)
知らない大人から「Q. 日本で金の皇族になったものの名前は? A. エンーラー エンラーー」ってクイズを出題される夢を見た。
(9/8)
傘をじっと眺めてると、万能な武器に思えてくる。こどもは傘をチャンバラ遊びの剣にも魔法の杖にも使いこなすが、大人は雨からの盾にしか使わない。これが「成長すると守りに入る」って事なのかな。
(9/9)
数百万回も再生されているMVにある「この曲が一番好きって感覚、分かる人いませんか?」ってコメント、何だよ。いるに決まってるでしょ。それも大量に。本当にその感覚が共有できそうにないとき、自分以外にその感覚の持ち主が不在だから世界から孤立したような心地がしてどうしようもないときに使ってくれよ。…この感覚、分かる人いませんか?
(9/10)
9/9の日記、だいぶ盛ってしまった。
というかそもそもこれは「日記」なのか?
「日記」ってなんだ?
本当に「虚しい」事なのか?
「短文」でもなくないか?
「短文」って具体的に何文字までならセーフ?
文字数じゃなくて行数の問題なのか?
なんて言ってる間に、今日のも「短文」でも「日記」でもなくなっていないか?
本当何なんだこれ。
ただただ「虚しい」ですわ。
(9/11)
幼稚園の中をニコニコ眺めてたら、園児の保護者と思しきお母様方がこちらを凄い睨んでくる。違います、僕は子供ではなく園内の遊具に興味を惹かれて観察しているんです。
(9/12)
今日は何もすることがなかったのでみなとみらいを訪れたが、すぐ帰ってしまった。何もすることがなかったから。
(9/13)
色々一段落付いたから新しい事しよう。ブログも再開する。…明日からにする。「明日やろうがええ野郎」ってよく聞くし。
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個人的に好みな「虚」を感じる事物を展示する「虚博物館」の構想を描いています。