虚シコウ

粗い構成!薄い内容!ほとばしる素人意識!AI社会で虚快に暮らすヒント!

ハゲるのはダイエット法の一種ではないし、うんこに「重便」の称号は渡せない

まず、白血病治療期間(寛解導入療法期)の体重変化グラフを眺める。

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56kgからゴリゴリ減り続けて、49kgまで落ちた。BMIを算出すると16.5、これは正真正銘言い訳のきかないガリだ。

BMI16.5ってかつてはスーパーモデル体型と呼ばれていて、言わば世界中の美人達が理想とする数値だったらしい……が、2017年にフランス政府がBMI18.5以下のモデルの活動を禁止する法律を定めてからは、「ちょっとガリじゃね?ちょっと太らない?太った方がモテるよ」と、逆新庄・スモールボスの価値観が広まっていったようだ。「普通の体型が健康的だよね、だって"普通"なんだからな!」と世界が気づいたのがわずか5年前だという事実、明るい虚しさに溢れていて最高です。

まあとにかく僕は不健康で異常なガリだという訳なので、一時退院期間中にウェイトをつけたいな…と思いデブ活したところ、退院直後の1日で+1.5kg、上記の図の範囲外の記録ではあるが再入院までの6日間で+3kg増やした。…まあまあの成果か?

 

 

...と、このグラフを眺めながら

  • ハゲるって一種のダイエットかもな
  • そういや利尿剤使っておしっこしまくった時期体重減ってるな
  • いや、おしっこでセコセコ減量グラム数稼ぐよりうんこ一発出しときゃしまいなのかな

と色々考えた時に調べた情報をまとめます。

髪の毛の重さ

髪の毛1本の質量が『約0.00087g』 *1
総本数が『約10万本』*2

すなわち、平均的な髪を蓄えている人が一気につるっパゲにしたとしても

0.00087×100000 = 87(g)

と、精々100g減のダイエットにしかならない計算となります。

 

余談ですが、この結果を見て私的に連想するのが柔道やボクシングでの試合前体重測定です。以前、プロ柔道選手を目指す女子小学生?の成長を追ったドキュメンタリー番組(以前といってもたしか10年程前の記憶なので番組タイトルは思い出せそうにない)にて、体重測定で2kgほど上限を超えてしまい、結果試合に出られなかったシーンをみた時、「いやまずはその長い髪切れよ!そしたら結構体重減らせるのに、よく考えろ!」とムダに強くツッコんでしまったのを覚えています。ただ、よく考えるべきだったのは当時のガキ、自分の方でした。2000gに対して100gではどうしようもない、というかもし測定会場で泣きながら坊主にされていたのならばそれは撮れ高に貪欲なTV番組スタッフの汚い指示でしょう。

 

おしっこの重さ

尿には身体の老廃物が含まれるので、純水よりも比重は高く 『1.010~1.030』 とされている…ものの、まあ我々素人は大雑把に比重1、つまり1mL=1mg だと覚えていればよろしいでしょう。

また、1日当たりの排尿回数は大半の人で『約4~6回』という情報は大体どこのサイトでも共通しています。

問題は1日あたりの排尿量で、広く幅とっているものだと
『700ミリリットルから3リットル程度』なんて情報もありますが、
『体重1kgあたり20~25mL程度』
*3
という説明が管見だと最も分かりやすいか。つまり健康的な一般男性だと、

約1500mL = 1500g

となります。

 
うんこの重さ

理想的な一日の排便回数は1~3回、理想的な1回あたりの便の重量は150~200g*4とすると、

175×2= 350g

が健康的な人の便の重さだと計算できます。…意外とうんこって大した事ないんですね。おしっこ一回分とほぼ変わりません。

うんこは「大便」ではあるが「重便」にあらず、
おしっこは「小便」ではあるが「軽便」にあらず。

 

寛解導入療法 終了~一時退院 - 白血病記録

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薬の種類

だいぶ量が減った。特に、ステロイドプレドニゾロン錠)が1日20錠から1~2錠に減った。

朝: プレドニゾロン錠5mg ×1or2、フルコナゾールCap100mg ×1、バクタ配合錠 ×1
夕: ネキシウムCap10mg ×1
不定期: マグミット錠330mg(便通改善用)、ネリザ軟膏2g(痔) + ロイナーゼ筋肉注射(30日目)、オンコビン点滴(30日目)

 

体調

0808~0809(寛解導入療法29~30日目)

前日までとは打って変わって調子が良くなった。元気だ。久々に「ヒマ」という感覚を取り戻した。PC作業もストレッチもできる程体力が回復した。看護師との雑談もスっと頭に入ってくる、「あ、今当たり障りのない場繋ぎトークをしている」と思いながら口が回る。

プラスの感覚だけでなく、マイナスの感覚も取り戻してきた。
起き上がる時の気だるさや、排便時の切れ痔の痛みをちゃんと感じられる。これが快感だった。
遂に正負のある「日常」に帰ってきたのだという確かな実感が生まれるからである。性根がMだからというわけではない。

 

30日目に抗がん剤を1種(オンコビン)投与されて、この日が寛解導入療法の最終日ということになった(のかな?)

この時点で現れている症状は、以下の通り。

  • 手指先の痺れ :手指の第1関節に紙が1枚張りついているような感覚、他にたとえるならば指先をお湯に突っ込んだ事で皮がふやけたような感覚が残る。ピリピリと痛い訳では無いので、生活上の大きな支障にはならないレベル。どうやらこれは、「神経毒性」あるいは「末梢神経障害」と呼ばれる抗がん剤の副作用で、少なくとも抗がん剤治療期間中は一度発生したらずっと残り続けるものらしい。指のストレッチをしたり温めて血流を良くしたりすると改善する、と言われているが、今のところあまり効果は感じられない。今後どんどん強まる可能性があるので、痺れの度合いに変化がないか適宜チェックしていく。
  • 耳の籠り:身体を長時間起こしていると、徐々に耳が遠くなっていく。周りの音はそこまで遠くならないが、自分が発する声がかなり籠って聴こえる。様々な耳抜きの方法(唾を飲み込む、鼻をつまんで口を閉じて息を吸い込む、顎を動かす、鼓膜付近の筋肉を動かす)を試してみても、改善しない。横になってしばらくしたら治った。なので、おそらく「耳管開放症」である。
  • 腰痛:たまにズキズキと痛む。骨髄検査からは結構日数が経っているので、おそらくその痛みではない。抗がん剤の副作用で神経が乱れているのか、あるいはシンプルに横になり過ぎていることが原因かと思われる。
  • 脱毛:ただ、ピークから1週間経っているので、そこまでは抜けてない。
  • 排便時の肛門痛:切れ痔+硬い便 で発生する。出血は少量。ネリザ軟膏を塗るとだいぶ効いて、あまり痛くなかった。
  • 頭のふらつき:頭を使う作業をすると若干クラクラしてくる、ただし安静にするとすぐに治まった。

あと症状という感じではないが、体重や筋肉量が当然低下している。歩行時には特に異常を感じないが、試しに屈伸してみたら1回するのにだいぶキツくて弱体化を悟った。

まあでも、とにかく元気だから大した問題には感じない。

 

0810~0814(経過観察期?)

抗がん剤や筋肉注射等の治療はもう行われないので、飲み薬だけ服用したらあとは普通の生活を送る。相変わらず調子はいい。元気なんだけど……食事がなんか変だ。味覚障害なのかどうかもよく分からない、味は感じているのに、「食べている」という実感がイマイチわいてこない。

「実感」……なんかそういえば、動いているという実感や、話しているという実感が薄い気かする。感覚・感情を伝達する神経が鈍っているのかもしれない。

どうしたものか...と考えていたら、この週はオールナイトニッポンが「お笑いラジオスターウィーク」なるイベント週だったので、radikoで色んな放送を楽しく聴いていたら、徐々に「実感」が戻ってきた。

お笑いラジオスターウィーク2022 | オールナイトニッポン.com ラジオAM1242+FM93

ありがとう、お笑いラジオスターたち(+radiko) 。特にマヂカルラブリー(+清水アナ)、僕に忘れていた「感情」を教えてくれました。絶対野田ゲーの次回作のクラファンには出資します。

...とまああまりにも個人的な治療法だったけど、結果かなり元気な状態まで回復した。

 

0815(一時退院前検査)

午前中に血液検査と胸部の造影CT検査、言うなれば今回の入院の「最終試験」をする。結果、血液に特別な異常もなく、胸部のリンパ腫もかなり小さくなっていて、他の臓器も問題なさそうとの事で、「最終試験」をクリアし、無事一時退院が決定した。

体調も継続して良い。長時間の歩行・会話・デスクワークが難なくできる。先週のように突然「虚」が襲ってくるかもしれないので気は緩めないが、確かな生き応えを感じる。

0816~(一時退院)

10時に晴れて一時退院。自前荷物に大量の薬とともに家に帰る。

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退院中に飲む分だけではなく、入院中に処方された分の薬の余り分も受け取ったので大量にある。今まであまり病院にお世話になった経験がなかったから、余計圧巻されるな。

まあ薬の量はどうでもいいんだ、そんな事より元気だ!普通に元の生活、いやそれ以上。病気が判明したタイミングが病院に行ってからというだけで、それ以前から病気は患っていた訳だから、その頃よりも元気なのは当然か。

はじめは短い退院にそこまで必要性を感じていなかったけど、「日常」を体験してわかる、一時退院は超必要。気分が全然違う。

思えば、はじめは1泊の検査入院の予定で家を出た。それがそのままずっと入院になり、結果41泊していた。いや~、とりあえずゆっくり過ごすか。

寛解導入療法 22日目~28日目 - 白血病記録

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薬の種類

朝夕の薬はこれまでと同様だが、入院中に出来た痔の薬が追加された。

朝: プレドニゾロン錠5mg ×10、フルコナゾールCap100mg ×1、バクタ配合錠 ×1、レボフロキサシンOD錠250mg ×2

夕: プレドニゾロン錠5mg ×10、ネキシウムCap10mg ×1

不定期: マグミット錠330mg(便通改善用)、ピコスルファート液(便通改善用)、ヘモポリゾン軟膏2g(痔)、ネリザ軟膏2g(痔) + ロイナーゼ筋肉注射(2日に1回)、オンコビン点滴(1回)、血小板輸血


体調

0801-0802(寛解導入療法22-23日目)

体調にムラがあった。3~4時間おきに波がきた。食欲はわかないが毎回1時間かけて8割は食べた。睡眠欲だけは今まで同様衰えず、8時間睡眠を確保した。
一般的には大量にステロイドを摂取すると不眠に苦しむそうだが、その気配は全く来ていない。もしかしたら自分には睡眠の才があるのかもしれない。あやとりと射的のできないのび太とでも名乗ろうか、などと思える程の心の余裕があった。

0803(24日目)

午前からずっと絶不調。とにかく気分が悪かった。ただ臥して全身で荒く息を切って耐えた。しばらくすると、急に何の前触れもなく、プツンと「普通」を取り戻した。
瞬間、
「ええやんええやん!ええやんええやん! しゅーーー〜ああああシューーーーー!、!!!!」
と、脳内がハリウッドザコシショウ一色に染まってビックリ。
この現象は注目に値すると思います。ハリウッドザコシショウ、元々好きな芸人ではあったけど別にそこまで追っていた訳ではない。なのに苦しみから解放された瞬間、ザコシになった。ザコシでしかなかった。彼の芸は人の喜びの源に近いというか、生得的なエネルギーから生成されているのだろうか?

それはさておき、少し落ち着いてきてザコシではなくなってからは、「この急回復は逆に怖いぞ...薬の影響か?脳神経がバグった? 」と考え、安静に努めた。

0804 (25日目)

一日中調子がよかった。体力も戻ってきた。血液検査の結果も、しっかり血球の数値が回復していた。
ここで「一山越えた」と判断してしまっていた。

0805 (26日目)

午前中は相変わらず調子がいいので、適当に運動や作業をした。
午後に「わけのわからない状況」が2回発生した。

まず昼に、突然「虚」に到達する。

そして夕食後、またしても突然、全身の血の気が引く感覚が来た。どこか特定の場所が痛むとかではなく、全身の血が止まっているような気分だった。ただ「危篤状態にある」「もう死ぬ」と思った。しかし血圧・脈拍・体温等全て正常なので原因もわからず、脚を上げて耐えるしか術がなかった。この状態がおさまるまで6時間かかった。

0806-0807 (27-28日目)

時々サッと全身の血の気が引く感覚が来ては、比較的短時間ですぐ治まる、を繰り返した。
こうも生死の波に揺さぶられると、もう二度と油断できない。

 

なにより、この「全身の血の気が引く」症状の正体を特定できていないままというのが困っています。今回の入院期間中最も苦しんだ、いわば最大の敵の素性がわかってない状態なんです。

心臓がキュッとなる感覚もありました。イメージとしてはこう、全方位から心臓がぐらぐらと圧迫される感じというか……

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うーん、やっぱり伝えるの難しいですね。

「迷走神経反射」か「脳貧血」か、その他精神障害かが可能性としては高そうなのですが……

何か少しでも情報持っている方、コメント頂けると本当に助かります。

寛解導入療法 10日目~21日目 - 白血病記録

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0720-0721(寛解導入療法10-11日目)

3種の抗癌剤初投与から12~48時間後、全身にたしかな倦怠感。この間にもう2回ダウノルビシン点滴があったが、前後で倦怠感の度合に変化はなし。

 

0722(12日目)

だいぶ倦怠感がおさまり調子を取り戻す。便も3日ぶりに出る。尿は1日14回、総量約5L出る。

 

0723-0725(13-15日目)

長時間デスクワークや散歩をしてもフラつかない程体調が良い。

 

0726(16日目)

2度目の腰椎穿刺、オンコビン点滴、ロイナーゼ筋肉内注射。筋肉注射はこれ以降1日おきに行う。それぞれ針の痛みはほとんど感じず、昨日までと同様平穏に過ごす。

 

0727(17日目)

起床後からずっと体調が悪い。11時、全身の倦怠感と腹痛に強い便意でトイレに30分こもる。激しい肛門痛と全身の発汗と共に下痢状の便を大量に出す。

排便後は一旦調子が落ち着いたので14時にシャワーを浴びたところ、血流が良くなったためか、鎖骨にカテーテル差し込んだ所から血が漏れる。ただ安静にしていたら一時的な出血で治まった。

17時から頭痛が起きる。恐らく腰椎穿刺による髄液圧低下が原因。19時以降は視界がぐにゃぐにゃに歪む、ちぎれる。

ただ、頭痛の時「水槽の脳」をイメージしているとなんだか若干落ち着いてくる事を発見した。以降、体調が悪い時は「水槽の脳」に意識を縋らせるようになる。

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0728(18日目)

起床直後、昨日の頭痛が嘘かのように快調。ただし15分程起き上がっていると頭痛がしそうな気配がやってくるので、横になるのを繰り返す。

 

0729(19日目)

頭痛と倦怠感でほとんどの時間横になる。

 

0730(20日目)

相変わらずの頭痛に激しい肛門痛。上半身に筋肉のこわばりが現れる。腕・肩・首・指先が身体にくっついてないような感覚。


0731(21日目)

脱毛がはじまる。肛門痛が爆発する。

シャワーを浴びた後、この入院期間で一番体調が悪化した。これまでの「倦怠感」とか「頭痛」とは一線を画す、症状のカテゴリが見つからない。頭と肩と腕と腹とがぐにゃっと複雑に溶けて、ドロドロと混じりあわさるような感覚…

 

…「蛹」? サナギ!

ああ、今自分は、サナギになっているんだ!!

 

と言い定めたところで症状は改善するはずもなく、とにかくただベッドに身体を沈めて耐えるのみであった。

看護師さんには

「ずっと全体的に調子が悪いので、
どんな状態が『普通』だったのか、
普通から今どこがどう悪いのか、
よく分かりません……」

と、情報になっていない情報を弱々しく伝えたかと思う。

 

すると、ダメ元位の感じで氷枕を提案されたので、藁にもすがる思いで使ってみた。

体温に関してはずっと正常(36.5℃付近)で熱っぽさも全くなかったので関係ない……と思っていたが、これがめちゃくちゃ効いた。急に生気を取り戻す。

思いがけぬ当たりに精神が興奮状態になり、逆に不眠に陥りそうだったので、小刻みに身体を震わしまくって疲労で自分をなんとか寝かしつけた。

 

白血病診断までの経緯(2) IVR検査、腰椎穿刺など

※前記事:

void00.hatenablog.jp

 

7月5日 初来院

紹介状を片手に都内の大きな病院を訪れる。
呼吸器外科の先生の診断で、胸腺腫以外の病気の可能性を指摘される。腫瘍を生検した方が良いでしょうと言われ、その場で翌日の検査入院の手続きを済ませた。
そのあとは 採尿、採血、レントゲン撮影、心電図撮影を行って帰宅。

 

なお、血液検査は先月から数回受けていたわけだが、白血球をはじめとする血球数に異常は見つからなかった。ここが病気の怖いところですねー。

つまるところ、異常だったのは、血液細胞の「数」じゃなくて「種類」だったというわけです。血液検査では見えてこないタイプの白血病もあるという情報でした。

 

7月6日 IVR検査入院

縦隔IVR検査のため入院。当初は1泊だけの予定だった。

CT撮影されながら胸に針を突き刺して腫瘍の組織を採取してもらう検査だった。

 

局所麻酔の注射は、まあそれなりに痛かった。
針を刺される度に胸から血がダラリと流れ出てくる感触が生々しい......ん、アレって本当に血だったのか?検査中視界は布で覆われていて、赤い液体を確認した訳ではないからわからないけど、痛みと釣り合うイメージは流血を伴う刺し傷くらい。

そのかわり、麻酔後に刺された採取用の針はほとんどその存在を感じなかった。「今採取しました。これを後数回繰り返しまーす」との声を聞いてはじめて「あ、今もう取ってるんだ」と気付かされる。
言われてみれば、胸の方から何度か「カチッ」という響きがする……ああこれが採取の瞬間か!と合点がいく。芯が空のホチキスで指を挟んだ時の感覚に近い。痛みは全然ない。次第に薬でいい感じに眠くなってきた……という感じで、30分程で検査は終わった。


7月7日 入院延期

明日までにはざっくりとした検査結果が出せそうとの事なので、話をスムーズに聞けるよう入院を延期した。夕飯に七夕ゼリーが添えられていたのが非常に粋だと思った。


7月8日 呼吸器外科→血液内科

採取した組織を調べた結果、どうやら正体は胸腺腫ではなくリンパ系の腫瘍で、血液に問題がありそうだと告げられた。

より詳細な診断にはもう数日かかるが、この時点で診療科が呼吸器外科から血液内科 へと異動した。なかなかの急展開だ。

 

あと腫瘍の大きさが8cmになっていることも伝えられた。

前の病院で撮影した時は6cm大だったので、1か月で2cm程大きくなった計算になる。成長早。すくすく伸びる子。ちなみにオリンピックメダルの直径規定は6cm以上、まりもの成長速度が1cm/年 らしい。
「腫瘍がメダルかまりもにでもなりますように」と、昨晩のオール疲れでその辺にへたり込んでいるであろう織姫へと1日遅れの願い事を飛ばしといた。

 

それはさておき、必要な検査をすぐに行うことになった。

先程の説明終わりから30分後には、骨髄穿刺・生検がはじまっていた。

本当に展開が早い。入院してからこの数日でもう起転転転としている。

腰の奥に鋭い痛みが1撃!「ングッ!」と短く一呻きした。

そしてしばらく安静をとった後、全身造影CT検査もした。

なんか腕に針刺したりそこから造影剤入れて全身が火照ったりした筈だけど、…あんま印象に残ってない。もはやCT検査は薄キャラのモブに成り下がっていた。検査のパワーインフレで心に麻酔がかかったのでしょう、サラリと終わった。

 

7月9日・10日 待ち

新型コロナのPCR検査や採血を受けながら、気長に診断結果を待つ。

 

7月11日 「白血病」の診断・寛解導入療法スタート

ここで正式に「T細胞性急性リンパ性白血病/リンパ腫」との診断がくだる。

以降、寛解導入療法を行うことになり、現在に至るという流れでした。

白血病診断までの経緯(1)胸痛発生→胸腺腫との診断

胸に痛みを感じてから『白血病』と診断されるまでの経緯を簡単に記しておく。

はじめに:自分の身体情報
  • 身長:170~175cm
  • 体重:55~60kg
  • 年齢:20代前半
  • 性別:男性
  • 喫煙歴:なし
  • 飲酒頻度:1か月に1回以下
  • 生活習慣:不規則な睡眠(夜型生活)と食事
  • 過去に大病の経験もなく、健康体で過ごしてきたかと思う。

 

5月31日

夜から突然胸が鋭く痛む。動いたり呼吸したりする度に、胸全体が圧迫されているような痛みが襲う。身体のあちこちを触れてみても痛みの場所を一点に特定できない。
ネットの情報を頼りに自己診断してみたところ、自然気胸の症状が非常に近かった。
浅い呼吸で横に臥すとある程度痛みが和らぐので、そのまま就寝した。

 

6月1日

昨日から症状が変わらないので、呼吸器内科のクリニックを訪れる。

胸部レントゲンとCTを撮影してもらったところ、デカまるい影が胸の中央にくっきりとうつった画像がでてきた。素人目でもわかるヤバいのが見えたおかげ(?)で、逆に「ストラーイク!」と一発で受け止めきれたのかもしれない。

医師からは『胸腺腫』の疑いがあると伝えられた。

胸腺腫とは 胸腺の上皮から発生する腫瘍で、10万人あたり約0.5人しか発症しないレアな病気らしい。*1

これから大きい病院でより詳細な検査をするということで、紹介状や画像データを受け取りその日は帰った。

 

6月3日

紹介状宛の総合病院で血液検査や心電図検査を受けた。

...のだが、この時点で実は、痛み自体はだいぶ消えており、以降も治まり続けることとなる。普通に動ける・呼吸できる。深呼吸時のみ、胸の奥底にズキっと痛みが走る位で、胸以外の不調も特に感じられない。この程度なら病院には行ってなかったなーというレベル。

だからあのタイミングで病院に行かずにもう1日放置していたら、相当発覚が遅れていたのは間違いない。

 

6月7日

造影CT検査(胸部)を受ける。

6月22日

検査の結果、やはり『胸腺腫』だろうとの診断結果をきいた。

それに加え、造影CT画像には肝臓にも小さく黒い影がうつっていたため、これが腫瘍の転移か否かを確かめる検査を後日行うことも伝えられた。
きちんと調べていきましょうねー、と優しく穏やかに先生がおっしゃる。

と、このタイミングで、同伴していた親が、他病院への紹介状を書いてもらうように先生に丁重にお願いをした。
珍しい病気だし、多くの経験や知見が積まれているより大きな病院で手術してもらいたいという想いで色々調べてくれていたらしい。
ありがたい!よろしくお願いします先生!!......あれ、先生?

「ふーん、それならもっと早めに言ってくれればよかったのにね」

との冷めたつぶやきが、先生の方角から聞こえてきた。
え、でもたった今はじめて正式に診断結果をうかがったわけですし、言うタイミングも何も...とモゴモゴしていたら、今度ははっきりと強い口調で

 

「「これじゃあ、僕はまるで『紹介状書き係』みたいだねえ!」」

 

と一発ぶつけられてしまった。うーん、手厳しい。

ここで医師への愚痴を漏らしたいのではない。

ただ、
紹介状を依頼すると医師のプライドを傷つけかねない事には注意が必要という事と、
それで冷たい態度をとられても依頼を折れない覚悟が大切だと言いたい。
だってここでもし折れていたら、自分は『胸腺腫患者』で確定していたわけで...

 

...先生側も何かハッとしたのか、以降は「紹介状はすぐには書けないんで次回準備しましょう、肝臓の検査はもううちで予約とっておいてるのでそれを受けてからがいいですよ」と丁寧に対応してくださり、一件落着。

 

6月28日

造影MRI検査(肝臓)を受ける。

6月29日

検査の結果、影の正体は小さな肝血管腫で、胸腺腫の転移によるものではなく問題なしと伝えられた。よし。紹介状もゲットできた。よし。

 

...よし!もうだいぶ胸腺腫の摘出手術が見えてきた。
8月以降の予定もひとまず変更なしでいけそうだなー等と思いながら終えた6月であった。

 

 

.........ここまで、『白血病』の言葉は一回も登場していない。

はじめての髄注と3種の抗がん剤投与 - 白血病記録

7月19日、急性リンパ性白血病寛解導入療法 第1クール第2週目。

 

第1週目はステロイドの薬を飲んだ位で何の苦痛も副作用もなく、嵐の前の静けさにかまけて平穏な日常を過ごしていたのだが、
今日からいよいよ 腰椎に針ぶっ刺して脳の髄液を引っこ抜かれたり抗がん剤をぶち込まれたりするということで、

ここから本格的に身体を「崩して」いく日々が始まるぞ……という武者震いが、

魂の震えが、起こ

 らないまま日が終わろうとしているので、ただ淡々と今日の出来事を記録しておく。

 

一日のスケジュール

5:30 起床
7:00 採血、体重測定
8:20 朝食
9:00 飲み薬(フェブリク錠、フルコナゾールCap)
10:00 飲み薬(プレドニゾロン錠; ステロイド
10:00 点滴が生理食塩水からソルデムに変わる
11:00 胸部レントゲン
11:30 採血結果等を教えてもらう
12:20 昼食
13:00? 飲み薬(吐き気予防薬)
14:10-14:30 髄液検査、髄注
14:30-16:30 ベッドで仰向け安静
14:20-18:30 3種類の抗がん剤が順に投与される
16:30 体重測定
18:00 心電図モニターを装着
18:10 夕食
19:00 飲み薬(ネキシウムCap、プレドニゾロン錠)
21:00? 就寝

 

(補足:先週から引き続き、24時間常に生理食塩水の点滴(約83ml/h)をしている。

また、朝昼晩の体温・血中酸素濃度・血圧の測定に加え、今日から 朝夕の体重測定と毎回の尿量測定が義務付けられた。)

 

髄液検査・髄注について

腰椎穿刺によって脳脊髄液の採取と薬の注入が行われた。

……ってそもそも脳脊髄液とは何ぞやと言うと、脳と脊髄を保護するために頭蓋骨や椎骨(=背骨)にある液体の事らしい。で、脳脊髄液を取ったり、脳脊髄液の中に薬を入れたりするために、腰椎の間のスペースに針を刺す事が、腰椎穿刺(ようついせんし)であると。

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局所麻酔注射時に軽く痛みを感じたが、些細なもの。コロナやインフルエンザのワクチン注射と同程度の痛み。あと、穿刺位置を定めるために腰上を指圧される時も軽い鈍痛。

髄液採取・髄注の針の痛みは麻酔のおかげで全然感じなかった。
そのかわり、脚に強い痺れが走る。
長時間正座した時の痺れとも違う。1秒間に約4回の規則的なリズムで、脚全体に熱い電気ショックが波打つ。肛門も熱くたぎるような感覚があった。

ただし、麻痺が残るかも…と不安がよぎる程の苦痛ではない。腿の上げ下げや足首の関節回しも比較的スムーズに行えるレベル。
痺れは発生してから10分後には徐々に弱まってきて、30分後にはすっかり消えていた。

 

3種の抗がん剤点滴について
  • 14:20 オンコビン点滴。ビンクリスチン注とも。実際には点滴ではなく、数秒間の注射による投与だった。
  • 14:30-15:30 ダウノルビシン点滴。ダウノマイシン注とも。点滴の袋には「ダウノマイシン注20mg+生理食塩水注100mg」と記されてあった。ドキソルビシン注 (アドリアマイシン)と同じ?かどうかはちょっとまだわからない。赤い液体のため、尿も赤く染まるが血尿ではないので大丈夫。
  • 15:30-18:30 エンドキサン点滴。シクロホスファミド注とも。点滴の袋には「エンドキサン注100mg+生理食塩水注500ml」と記されてあった。

 

薬の効用・副作用等の詳細情報は以下のサイトに委ねる。

CHOP(チョップ)療法 | 国立がん研究センター 中央病院

 

ちなみに、胸に繋がれた点滴の管(中心静脈カテーテル)も、一日も経てば衣服のように慣れる。個人的には腕に刺す点滴よりも断然違和感なくすっと馴染んだ。
コイツ見た目のおどろおどろしさに反して全然手のかからないヤツなんでね、安心して飼ってやりましょうねー。……アレ、点滴から栄養を与えて貰っているわけだから、逆に自分が飼われてる側なのか?まあいいか。

ただ、聴覚が過敏で神経質な人にとっては「ポタ、ポタ、…」という滴り音が常時耳につくのがキツいので耳栓必須だと思う。

 

--- + --- + ---

とまあ今日は大体こんな感じで、まだ目立った副作用も現れていない。強いて言えば汗量が増えたぐらいか。

「3種の抗がん剤」でふと思い出したけど、3種のチーズ牛丼久々に食べたいな、病院食として出てこないかなあ、そういやダウノルビシンは丁度タバスコみたいな赤色だったから代用効くんじゃないか……等のクソコメントしかもう書けそうにないので、記録を終えて安静に励む事とする。